蘆花・下子の文書置き場

言葉を通じた知の獲得は、決して起こり得ないだろう。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

意味の捏造と疎外

人間が垂直感染してしまった「意味」という認知上の障害について。 I. 意味という習慣 事物や人間的存在は、その存在自体が予め主体の前に現れ、これに続く形で意義や目的が付与される。この過程は、他者によって目的を予め設定された上で創造された事物に対…

教育という装置の発明

貴方は教育を受けたことがあるだろうか。私は生涯で一度も教育を受けたことがない。故に教育を外からしか眺められないが、外から眺められた教育が如何なるものであるかを被教育者たちに表示しておきたいと考えた。以下はその目的のために費やされる。 I. 教…

2016 年 3 月のとある手紙

○○○ さま お終いです。 僕は貴女に逢えて嬉しかったし、貴女の中に僕が童貞を失った頃の女の人の面影を得るようで、心身ともに満たされようとしたがっていました。 それも、もう終わりです。まず、貴女に拒絶されるのが辛い。貴女に嫌な想いを向けられること…

中心化された限定コードの世界

社会は恣意的に分化させられてきた。 I. 緻密コードの天下り的転倒 かつてバーンステインは階層集団に対して独自の言語コードの存在を仮定し、更にその副作用として職業の分化を招くことを示した。乃ち、社会的下層に位置する集団は、事物や主張を発言者の主…

論文と詩

その文章 ――彼―― は、学術論文として投稿された散文詩なのだった。 I. 現象 彼らを見出したのは秋も暮れかかったとある紺色の空の日であった。彼らは一見とある人文科学上の議題を扱っており、彼らに目を通した私は底知れない欺きを感じ取り、更にそこから生…

アイデンティティによる疎外

0. 問題 アイデンティティとは必須だったのだろうか。 1. アイデンティティ・ドリヴン 冒頭の一文のみでは問題の射程を制限することが充分ではないため、換言しておく。人間的な主体 (以降「主体」と呼ぶ) は自身が社会 ――あるいは局所的なコミュニティ―― に…